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この笑顔が、ある日突然見られなくなるなんて信じられますか?

 最近日本でも関心が高まってきた「乳幼児突然死症候群」は、
何の前ぶれもなく乳幼児が突然、死亡する病気です。乳幼児突
然死症候群は、英語名の「Sudden Infant Death Syndrome」の
頭文字をとって、「SIDS」といっています。

 SIDSは、乳幼児が寝ているときに、いつの間にか死亡して
いたという例がほとんどです。そのため、親もまったく気がつか
ないことが多いのです。

 厚生省では、SIDSを「それまでの健康状態および既往歴か
らその死亡が予測できず、しかも死亡状況および剖検(解剖によ
る死因の検査〉によってもその原因が不詳である、乳幼児に突然
の死をもたらした症候群」と定義しています。つまり、それまで
の健康には何ら問題がなく、しかも解剖して検査をしても原因が
わからないのが、この病気の特徴といえます。

 SIDSは、日本ではあまりよく知られていませんが、
2000人に1人ぐらいの頻度で発症しており、年間600〜
700人の乳幼児が亡くなっているのです。

 また、外国では、イギリス、アイルランド、フランス、オース
トラリア、ニュージーランドに多く発症しており、これらの国で
は、1970年代から研究や啓蒙が進められてきました。
  
 SIDSの原因は、今のところまったくわかっていません。い
ろいろな説が立てられていますが、確定的なものは、まだありま
せん。いわば、研究者の数だけ仮説があるというのが現状です。

 それでも最近では、脳の呼吸中枢の異常によるのではないか、
という考え方を支持する研究者が多くなってきています。私たち
の体には、呼吸が止まっても、自動的に呼吸を再開するためのス
イッチを入れる”覚醒反応”というシステムがあります。SID
Sでは呼吸中枢に何らかの異常が起こり、この覚醒反応のスイッ
チが入らず、呼吸が停止するのではないかと考える説です。

 しかし、この説にもいろいろな問題があり、原因解明にはまだ
時間がかかりそうです。

 愛知県SIDSプロジェクト委員会の調査によると、生後
28日から1歳までの乳児の死亡原因のトップは、SIDSであ
ることがわかっています。

 SIDSの発症が最も多いのは、生後4〜5か月の乳児で、特
に4か月の乳児の死亡原因のうち、実に60%近くをSIDSが
占めています。

 生後6か月を過ぎると発生率は低くなり、1歳以降になると非
常に少なくなりますが、2歳までは起こる可能性があるといえま
す。


以上は、名古屋市立大学医学部  戸苅  創 先生 の資料による。